〜若干のネタバレを含みます〜
ウマ娘のアニメ1期が放映された頃、一応追いかけていた。
当時、ウマ娘に対しては、ラブライブやバンドリと同じように「ゲーム販促のために製作されたアニメ」という印象しか抱かなかった。
しかし、それはアニメ2期によって大きく覆されることとなる。
今やウマ娘はこれまでに視聴してきた中で最高の物語の一つとなった。
なぜ、これほどまでにウマ娘に魅了されるのか?
今一度じっくりと考えてみたい。
現実的な物語
主人公が夢を追いかける物語は無数に存在する。
ひねくれた性格の僕は、
- 「そんなにうまいこと行くはずがない。」
- 「順風満帆な人生ですね。」
と、冷めた目で物語を見つめる。
冷めてしまっては物語に没入はできない。
次のクールが始まればすぐさま記憶の片隅に追いやられ、もう二度と思い出すことはない。
ところが、ウマ娘は他の作品にはない圧倒的な熱量で迫ってきた
現実の残酷さ
「無敗の三冠ウマ娘」シンボリルドルフに憧れるトウカイテイオーからウマ娘2期のアニメはスタートする。
1話ではいかにテイオーがルドルフに憧れ、夢見ているか、そして、いかに順調に「無敗の三冠ウマ娘」という夢に向かっているかが描かれる。
一転して2話で骨折が判明し、懸命なリハビリも叶わず菊花賞出走を断念。
その時点で「無敗の三冠ウマ娘」というテイオーの夢は潰えてしまう。
しかし、テイオーは「まだ負けていない」と僅かに残った希望を胸に「無敗のウマ娘」を目指す。
その後もテイオーは骨折を繰り返し、計3回の骨折に見舞われる。
そして、レースからの引退を決める。
テイオーは夢見る少女として描かれながらも、夢を奪われ、残り少ない希望も失い、絶望のどん底まで突き落とされる。
物語の主人公としてはあまりにも残酷すぎる扱いではないか。
史実に基づいた物語
ウマ娘についてよく言われるように、ウマ娘の物語は実在した競走馬の史実をもとにして描かれている。
テイオーは怪我を重ねながらも何度も立ち上がり、復帰戦の有馬記念で勝利する。
一年振りのレースでさらに前回は惨敗したレースでだ。
まさに漫画のような勝利としか言いようがないが、その勝利は実際にトウカイテイオーが成した偉業である。
テイオーの物語を見守る視点
テイオーの物語を作中で様々な人が見守る。
トレーナーやチームメイト、ファン、幼いウマ娘、シンボリルドルフなど…
それら全てが視聴者の視点となり得るように丁寧に描かれている。
視聴者は時にトレーナーとして、時にライバルとして、時にルドルフとして物語をその時々に応じた最高の視点から眺めることができる。
細部まで手を抜かずに作り込まれたからこそ、全編を通して胸打つ作品となったのだろう。
もう一人のウマ娘の物語
アニメ1期ではスペシャルウィーク、2期ではトウカイテイオーを中心に物語は描かれた。
そして、今度は新たにオグリキャップを主人公に据えて物語が進んでいる。
「ウマ娘 シンデレラグレイ」
アニメ2期の残酷さも残しながら、さらに熱量をました物語が展開される。
ルドルフの名台詞
「中央を無礼(なめる)なよ」
を目にしたことのある人もいるだろう。
ゲームやアニメとは違ったキャラクターの圧や闘志が見える作品となっている。
まとめ
物語は説得力を持たなければ心に響かない。
その点、ウマ娘は史実をもとにしているだけあって説得力は十分だ。
栄光だけでなく挫折までをも丁寧に描き、物語に触れるものに圧倒的な熱量で迫る本作は歴史に残る名作になるだろう。
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