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【感想】ヨーロッパで見る「紅の豚」【NETFLIXのアニメ革命】

アニメ
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数週間前、ヨーロッパに在住する日本人に衝撃のニュースが走った。

「NETFLIXがジブリ作品を全世界で配信を開始!ただし、日本、アメリカ、カナダを除く」

これにより、海外に赴任もしくは留学する日本人が加入するべき動画配信サイトはNETFLIX一択となるだろう。

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久しぶりに「紅の豚」を見て

ジブリ作品の有名どころは小学校に入学する前からずっと見ていた。

当時はVHSだったため、文字通り、「テープが擦り切れる」ほどに。

内容はよく覚えているはずなのに、改めて鑑賞すると、初めてその作品に触れたかのような新鮮さがあった。

正しく、ジブリのマジックである。

ポルコの船

ポルコのトレードマークと言える赤いプロペラ機は、彼が倉庫で埃をかぶって眠っていたところを掘り起こしてきたものだ。

エンジンの不調や、「アメリカ野郎」との戦闘により飛べなくなっても、修理をして乗り続ける。

どうにも、自分と楽器の関係に似ていて面白かった。

今、僕が使っているコントラバスは師事した先生から譲りうけたものだが、先生は、教会に長い間放置されてひどい状態だったその楽器を引き取り、修理して手元に置いていた。
その楽器がある日、泥棒に盗まれてしまう。
幸運にも警察が発見したのだが、どうやら、暖房の近くに保管していたらしく、再びひどい状態に逆戻りしてしまった。
数年かけて大修理が行われ、今は素晴らしい楽器となっている。

それが後に、僕のもとに来ることとなったのだ。

現在のベルリンフィルの首席コントラバス奏者のヤンネ・サクサラさんの楽器も、ひどい状態だったのを買い取り、時間をかけて修理をして使用しているらしい。
その楽器は今や、ベルリンフィルの重厚なベースセクションを牽引する楽器となった。

どんな状態になっても、楽器を蘇らせる職人と、じゃじゃ馬な古い楽器をなだめながらだんだんと口説く楽器奏者。

マルコとフィオ、そして彼らの船の美しく幸せな関係が描かれていた。

ここにも居た。「ボス」大塚明夫氏

今回、ある意味で一番衝撃だったのが、「アメリカ野郎」のカーチスを演じていたのが大塚明夫さんだったということだ。

僕の生まれる前、1992年の本作は、彼のキャリア初期の作品の一つだ。

役者として活動を始めて30年。
未だに全線を走り続ける名優、大塚明夫。

大好きないくつもの作品に関わっている方だが、本職の演技とは別に、彼の著書「声優魂」にはとてつもない衝撃を受けた。

「声優だけはやめておけ」

そう語る彼の話を聞けば、確かに声優ほどバカみたいな仕事はないということが分かるだろう。

それでも彼が役者の道を選んだ「役者になるのではなく、役者として生きる」という覚悟。

僕が歩む道は役者の道ではないが、音楽家を志すものとしても身の引き締まる思いだった。

声優志望の方は必携の本である。
また、芸術の分野に生きようとする人にも通ずるものがあるだろう名著だ。

アニメの「きれいな絵」

アニメーション作品において、「きれいな絵」、「圧倒的美しさを誇るアニメーション」などと言われる作品が多くある。

ただ、気を付けなければいけないのは、「きれいな絵」と「写実的な絵」は全くの別物だということだ。

「写実的な絵」が素晴らしいのであれば、絵は写真の完全下位互換でしかない。

細かい細部まで写実的に描く新海作品も、技巧的な部分のみ評価されている気がする。
アニメーションの美術に対して「まるで写真の様な」は決して誉め言葉ではない。

テクニカルなものは分かりやすい。アーティスティックなものはじっくりと染み込んでいく。

技巧は大切だが、「表現のための技巧」であるべきで、「技巧のための表現」であるべきではない。
超絶技巧を追い求めた奏者の「音楽」が、「音楽」を追い求めた演奏家のたった一音の音に完敗するのはよくある話だ。

決して安っぽくない。穏やかに見る者の心に迫り、いつまでもそのものの心に残り続ける。
実にジブリらしい絵だと言える。

まとめ

ジブリ作品は単なる「良作」ではない。

一度デッキに入れたビデオを視聴後に取り出して、
「面白かった。まあでももういいかな」と満足してしまい、テープが擦り切れることはなく、棚の端で埃をかぶる作品は多くある。

しかし、ジブリ作品に限っては何度も観てセリフも展開も何もかも知り尽くしているはずなのに、いつも初回の視聴の様な新鮮さをもって迫ってくる。

ジブリのテープは何度も再生されて擦り切れて、決して埃をかぶることはない。

 

全世界に配信してくれたNETFLIXに感謝である。

動作の安定性、国や地域での作品の充実具合、意欲的なオリジナル作品など、これからNETFLIXが起こすであろう革命から目が離せない。

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