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【楽器】人生で二本目の楽器の選び方

音楽
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弦楽器と弦楽器奏者の関係は特別なものだ。

他の楽器とは比較にならないほど長い寿命を持つため、様々な奏者やコレクターのもとを渡り歩くことも珍しくない。

その過程で楽器は魂を持ち、その魂が奏者と響きあったとき、魔法の様な瞬間が生まれる。

楽器は奏者の友人であり、師である。

 

僕はありがたいことに楽器との縁に恵まれており、素晴らしい楽器たちに囲まれて暮らしている。

先日も新しいベースを手に入れた。

今回はその経験から改めて実感した、

  • 演奏する楽器の重要性
  • 楽器をアップグレードするときの選び方

この二点を中心に書いていく。

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今回の楽器の選び方

僕の人生二本目のベースはフレットレスのミュージックマンのスティングレイだった。

楽器の選び方、選ぶ基準は人それぞれだと思うが、僕の場合どのようにスティングレイにたどり着いたのか書いてみよう。

二本目のベースを手に入れたいと考えるようになってからどのようにして手に入れるに至ったか、どんな選択をしたか、参考になればと思う。

なぜ、フレットレスベース?

まずはこちらを聞いていただきたい。

Paul Young – Whever I Lay My Hat (Audio)

マーヴィン・ゲイの名曲をポール・ヤングがカバーした演奏。
ベーシスト界隈ではイギリスのセッションベーシスト、
ピノ・パラディーノがフレットレスのスティングレイを使用した名演として知られている。

コーラスを掛けたピノのベースは、ポール・ヤングの温かみのある声や穏やかな曲調に見事に調和している。

フレットレスの特徴として挙げられるのは、

  1. アタックからピークまで時間差がある
  2. 程よく抑えられた高音域
  3. グリッサンド(スライド)したときに音が繋がる

などである。

1.に関して補足すると、通常のフレットのついているベースであれば、

「パン」

と鳴るが、フレットレスは

「ポワン」

となる感じがする。
弦を弾いて最初に出てくるアタックに若干遅れてピークの音がやってくる。
この辺りは、弦の押さえ方や右手の弾き方である程度操作することができる。

 

上の動画の演奏では、こういったフレットレスの魅力がしっかりと出ている。

ベースが音楽の中心にあり、存在感を放っているものの、
フレットレス特有のアタックと程よく抑えられた高音域は決してヴォーカルの邪魔をしていない。

歌物の後ろでヴォーカルと共存し、メロディアスに演奏することができる。
フレットレスに惹かれた理由の多くはこの曲のピノの演奏にある。

なぜスティングレイのフレットレス?

フレットレスのベースが欲しいと前々から思っていて色々とリサーチしていた。

候補に挙がっていたのは

  • Furchなど… :アコースティック・フレットレス・ベース
  • Godin :エレクトリック・アコースティック・フレットレス・ベース
  • Fender:ジャコ・パストリアスモデル(ジャズベース)
  • Music man :スティングレイ(フレットレス)

などである。

アコースティック・フレットレス・ベース

アコースティック楽器の利点としては、気軽に演奏することができるということがある。
そのため、通常の楽器とは段違いの練習量が必要なフレットレスの入門としていいのではないかと考えた。

エレキの楽器はアンプのセッティングや接続、(僕が今使用している機材の場合は)ヘッドフォンの装着など、準備が多い。

アコースティックのものなら、スタンドから手に取りすぐに演奏できる。

Furch B61-CM Fretless acoustic bass demo played by Miklós Szula in Stageshop

Furch(フォルヒ)はチェコのギターメーカー。
プラハにある楽器店でこの楽器を目にして、こういった選択肢もありだと思った。

しかし、ライブでの使いやすさは決して良いとは言えず、自宅での使用がメインとなるだろう。
自宅で弾くとしても、音量は十分ではなく、ピックアップを通しての使用が前提になっていると思う。

Furchのものは実際に弾いたわけではないが、東京で試奏したK.Yairiの物はどうもしっくりと来なかった。
ボディーの形が弾きにくく、ベースらしい低音はアンプを通さないと出なかった。

ただ、上の動画の様に、使用用途はある程度絞られるものの良い個体を手にできれば、他のベーシストとの差別化を図れるだろう。

Godin エレクトリック・アコースティック・フレットレス・ベース

エレクトリック・アコースティックの楽器を作る会社として一定の評価を得ているGodin。

ピックアップを装備したアコースティックベースとしてはFurchやK.Yairiと物は同じだが、サウンドホールがなく、完全に生音での演奏を切り捨てた設計となっている。
候補に挙げた中で最も実用性を持ったベースと言えるだろう。

Jonathan Stoyanoff demos the Godin A4 Fretless Bass

実際に手に取って驚いたのが、指板のエボニー材だ。
もし、染色していない木材なら、かなり上質なエボニーだろう。

色は真っ黒で、しっかりと目が詰まっていた。
宝石の様な美しい材だった。

文句の付け所がない楽器だったのだが、抜群の実用性を持った楽器だけに没個性的な印象を受けた。その二点は表裏一体かもしれない。

この楽器を選ばなかったのは単に好みでなかっただけだろう。

ジャコ・パストリアスのジャズベース

フレットレスのベース奏者として有名なのはジャコ・パストリアスである。
彼の使用していたフレットレスに改造したジャズベースはフレットレスベースのスタンダートと言える。

勿論、フレットレスのジャズベースも候補に入っていたのだが、実際に音を出してみるとフレットレスらしいアタック感はなかった。
また、音作りの幅も狭く感じた。

Fender Jaco Pastorius Relic Jazz Bass

本人の演奏ではないが、実際に触ってみたジャコモデルの楽器と近い音が出ている。

本人の出している音は実にフレットレスらしい音なのだが、現行のモデルはどうもフレットレスらしさがない。
もしかすると、指板材の違いがあるのかもしれない。

スティングレイ

実際に手に入れたスティングレイ。

こちらは手に入れたいと思っていたが、現在は生産が中止されているようで現行モデルの入手はほぼ不可能だ。

また、中古・ヴィンテージの物は日本にほぼない様で入手は諦めていた。

しかし、たまたま入った「ギター・プラネット・ベース館」で発見して早速弾いてみた。
正に、理想の音で出せる音の幅も申し分なく、この楽器があれば、何か凄いことができる様な気がした。

EQがフラットでも十分使えるのだが、少しいじると表情を変える。
トレブルとミドルを上げて、ベースをカットすると、輪郭のはっきりとした音になる。
トレブルをカットし、ベースをブースト、ミドルも少し足すと、柔らかく包み込むような音になる。
指板の端に親指を置いて弾いたとしても、スティングレイ特有のブリッジ寄りに設置されたパワフルなピックアップのおかげで、リズム楽器として必要な音の輪郭を失うことはない。
こちらの要求に見事に答えてくれ、楽器自身も独自の音楽を持っていた。

ピノが使用していたものとは製造年の違いでEQ、ジャックの位置、色など、違いはあった。
しかし、独特の色合いをしており、ほぼ自分が生まれた年代と同じということもあり、気にならないどころか、プラスの要素だった。

まとめ

楽器を選ぶときの思考をまとめると、

  1. 大まかな自分のやりたい音楽を発見する
  2. その音楽に向いた楽器をリサーチする
  3. 本命と、その周辺の楽器を弾く

一本目の楽器を買ったときより、二本目の楽器を買うときの方が音楽性、知識量は比べられないほど豊かになっている。

情報を集めて論理的に楽器を選んでいくのが二本目の楽器を購入するときには必須なのだが、決め手となるのは

  • その楽器が音楽を持っているか
  • 自分の要求に追従してくれるか

この二点が最も重要である。
これだけは実際に楽器を手にしてみないと分からないものだ。
ここに、楽器は実際に試奏して購入することが必須と言われる根拠があると思われる。

Godinのベースは十分自分の要求に追従してくれる音作りの幅広さもあれば実用性もある。

しかし、その楽器から音楽を感じなかった。
楽器の持つ音楽と響きあわなかったといった方がいいかもしれない。

スティングレイはちょうど二つの要素をバランスよく持っていたのだ。

まとめ~楽器を選ぶときに気を付けること~

二本目に手にする楽器は10万円~20万円もしくはそれ以上となる。

経済的にも失敗したくないし、音楽的に見ても、その後の音楽人生を左右しかねない選択であるため、失敗したくはない。

普段より個人的に考えている楽器の選び方についてふれる。

楽器は自分の音楽を作る

「弘法筆を選ばず」

と言うが、楽器に関してはそんなことはない。

例えば、ヴァイオリニストは数十億円のストラディバリウスを手に入れたがるし、そこまでいかなくとも自分の気に入った楽器は何としてでも手に入れる。
自分の音楽をどこまでも高めてくれることを知っているからだ。

楽器との関係で重要なのは「楽器を手にした瞬間に良い音が鳴る」ということではない。

「将来、自分の音楽をどこまで高めてくれるか?」

それが一番重要なのだ。

楽器とは未来の自分の音楽への投資である。

(詳しくはこちらの記事で。)

試奏を嫌がる店では買わない

最近閉店した、日本のコントラバス販売・修理の老舗「弦楽器の山本」。

以前お邪魔した際、3時間ほど新品からオールドまでコントラバスをとっかえひっかえ弾かせていただいた。

それぞれの楽器の個性やその楽器の持つ音楽など、様々なものを感じることができた充実した時間だった。

プラハで勉強する際、先生からコントラバスを借りていたのだが、
その楽器がどんな楽器だったのか、比較対象がなかったためあまり分からなかった。
しかし、「弦楽器の山本」でいろいろな楽器に触れることで、楽器への理解がより深まった。

楽器の偉大さ、自分の音楽と楽器の音楽が響きあった時の魔法の様な瞬間…
プロになる云々関係なく、今後の音楽人生を豊かにしてくれるであろう時間であった。

 

楽器店とは、奏者と楽器を引き合わせてくれる場所でもある。

勿論、商売であることは分かっているが、もっと大事な使命が楽器店にはあるように思えるのだ。

クラプトンは、「461オーシャン・ブールバード」を発表して表舞台に帰ってくる前、酒と薬物で人間としてどん底まで落ちていた。
もし、彼が「ブラッキー」を手に入れていなかったらそのアルバムが世に出る前にクラプトンは音楽界から姿を消していたかもしれない。

 

「こちらの商品は高額なため、ご購入を検討の方のみ…」

試奏を頼むとたまに言われてしまうが、その店には二度と行かない。

勿論、気持ちはわかる。相手も商売なのだから、大事な商品を傷つけてほしくないだろう。
でも、商売以上のものを見出している楽器店を応援したい。

楽器の管理をしっかりとしている店で買う

スティングレイを買ったのは、東京、御茶ノ水の「ギター・プラネット」だ。

良い出会いをさせてもらって感謝しているのだが、少し不満な点があった。

楽器の保管がずさんだった。

アコギのペグが壊れていて、店員が試奏直前にそれに気づいて修理を始めたり、
「これは日本でもこの一本しかないですよ!」と言われた6弦のフレットレスベースがネックそりの為音が出なかったり…

弦楽器は管理の仕方で大きく価値が変わる。
間違った管理をすれば楽器を殺してしまいかねない。

是非とも、しっかりと楽器を管理している店で購入してほしい。

なんだかんだ直感

色々と述べたが、結局、試奏を渋られても、ペグが壊れていても、弾いてみて「良い!」と思えばその楽器は良い楽器なのだ。

楽器を弾いて、楽器と響きあう感覚、興奮、そういったものを感じるのには長い時間弾く必要はない。
数音弾けば「これ以外ありえない」と思ってしまう。
こればっかりは経験してみないと分からない。

もし、次の楽器を探しているなら、決して妥協せず、
弾いた瞬間に心の底から音楽があふれてくるような楽器をどん欲に探してほしい。
その楽器にはあなたが必要だし、あなたにはその楽器が必要だ。

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